希少なビクターの超実力機の一つ　F-130 ラジオ

71年発売、16900円、最大出力2.2Wの3バンドラジオです。
音響機器大手の一角であったビクターは当時色々な方面への多角化を進めており、小生の記憶が確かならばこの頃同社のカラーテレビが「世界の一流品」という本で最高評価を受けていました。その後同社はビデオのVHS方式を開発、Beta方式のソニーと激しく覇を競う事になります。但し、このモデルを発売した当時はラジオについてはナショナルとソニーの二社がデザイン、技術共に飛び抜けており、ビクターはとても小さな存在でした。
全体はソニーのIC11を強く意識した様なブラック&シルバーのすっきりしたデザインで、向かって左上にあるセルラーと呼ばれる高音部の拡散ホーンが目立った特徴です。このサイズでホーン付きの2ウェイスピーカーというのは業界初だった様です。
音はこのクラスではベストの一台という評価も有り、小生も両手を挙げて賛同致します。
比較的最近のビクターのラジオも幾つか扱いましたが不思議と傑出して良い音だとは思いません。しかし、このモデル前後の数台の3バンドモデルは当時ポータブルラジオの中では特別に良い音です。5cmツィーターと10cmのミッドバスの2ウェイで高域を拡散するデフィーザー(このモデルではセルラーと言う呼び名ですが)と言う割と凝った構成で、古い録音のクラシック、ジャズを聴くには今でもベストに近い一台です。
写真を撮る際に蛍光灯のノイズを拾い易い事に気付きました。選択度が余り良くないのかもしれません。
もうひとつの特徴がFMの局間ノイズを低減する可変ミーティングというもので、トップパネルの向かって右側についているスライドボリュームがそれです。効果は有りますが、可変にする理由は無さそうです。
但し、希少価値、すっきりしたデザイン、変わったギミック、使いやすさ等を考えるとコレクターの興味を惹くモデルの様で楽天等では4～6万円の価格設定になっていて驚きます。
この個体はオークションで比較的簡単に落札、写真では非常に見窄らしい様子でしたが、2種の洗剤、シール剥がし等を使ってクリーニング後は綺麗です。
全ての機能良好、ボディーには目立った凹みや傷も無く美品に近いのですが、レタリングに多少掠れがあります。価格は希少価値を考慮しています。此れでも前述通り破格に安い事になりますが。電池付き。アダプタは特殊な物が必要です。

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